1F 2F 3F 4F 5F 6F

Vol.11 笠井奈津子さん

笠井奈津子
笠井奈津子

EPW members interview Vol.11

笠井奈津子 Natsuko Kasai
カラダプラスマネジメント株式会社代表取締役/ヘルスケア系起業家ママ/美空間スタイリスト

Profile

1979年東京都生まれ。聖心女子大学哲学科を卒業後、栄養士の道へ。都内心療内科クリニックの研究所で食の視点からカウンセリングに携わる。独立後は企業研修や執筆活動に注力し、『何もしない習慣』(KADOKAWA)など著書累計10冊20万部超。出産、離婚など自身のライフステージの変化で健康的な働き方・暮らし方を模索するようになり、澤円氏をはじめとする文化人のマネージメントでパラレルキャリアの道を開拓。コロナ禍で住環境が健康に与える影響を感じるようになり、個人宅の空間スタイリングなど食と住をかけあわせたウェルビーイングな分野にも進出。

健康と住環境の両面から頑張る人をサポートし続ける笠井奈津子さんにお話を伺いました。

心に湧いた小さな違和感をキャッチし、しなやかに変化させるワークスタイル。

現在の仕事は3本柱。ヘルスケア系のビジネス、個人宅のスタイリング、文化人のマネージメントです。今はシングルマザーなのですが、どうやって子供と仕事のバランスをとるか模索しているうちに、自然と柱が増えました。共通項は、「誰かがより輝くサポート」。多岐にわたるようで、私にとっては同じ仕事なんですよ。

元々は大学で哲学を学んでいたのですが、摂食障害になってしまって。それを機に心と栄養の関係に興味を持って、栄養士の学校に入りました。でも、勉強してみるとよりわからなくなってしまったんです。栄養計算でわかることはあるのですが、数字では測れないものもあるのでは、と。食卓の風景の大切さとか、そういった環境のことまで学びたいと思って、在学中に栄養士を置いている心療内科のクリニックでアシスタントとして1年間勉強させてもらいました。卒業後、そこで食事相談の枠を持たせていただけることになったのですが、心療内科ってそもそも行くのにハードルが高いですよね。食が心の健康においてすごく大切なものだということが広く認知されたら、心療内科に行く前のタイミングで防げることがあるんじゃないかな?何かそういう方法はないかな?と考えるようになりました。

そこで、27歳くらいの時、思いきって、起業家養成学校に行くことにしました。その時に思っていたビジネスモデルは、バリバリ働くビジネスパーソンが入居する高級賃貸マンションを作って、住み込みで食事を提供すること。そこに入居するビジネスパーソンが第一線で活躍できるようになったら、食の大切さをポジティブに広められると思ったんです。でも、「そのマンションの購入費は?」など先生にいろいろ詰められる中で、すぐに形にできるように考え直したプランがまさかの優勝。それは、レンタルスペースを借りて、自分が体験して欲しい食事を出すカフェとして営業するプランでした。優勝してしまったので、実現させないといけなくなり、病院やクリニックの仕事と掛け持つことに。すると、休みなく働いたその一年で体重が10kgくらい増えてしまって「このやり方では続かない」って体からのサインを受け取ったんです。

増やしていた仕事を思い切って絞ったところ、次の日に出版の依頼が来たんです。神様っているんだなと思いましたね。

今依頼が多いのは、企業の社員さん向け研修。健康経営の流れもありますし、20年前よりは食や健康への興味関心も増えた気がします。みんながみんな自炊できるわけじゃないので、たとえばコンビニ弁当ひとつとっても、ベターな選び方を伝えています。

コロナ禍をきっかけに、インテリアの仕事をスタート。

コロナをきっかけに、どの会社でも在宅勤務が導入されました。そうすると、食事どころじゃなく、睡眠や生活そのものの相談をされるように。動線を良くするためにキッチン周りを整えるなど、健康的な生活をおくりやすい空間づくりが大切なのかな、と気づいたんです。

私自身も、コロナ禍を機に自分の生活を見直すようになって、ログのためにインスタを始めました。すると気づいたのは、食を仕事にしているはずなのに、写真に食べ物が少ないということ。インテリアの写真が多かったんです。次第に、友人から自宅のスタイリングを頼まれるように。それがとっても楽しかったし、栄養士の仕事でも住環境の大切さを感じていたこともあって、2回目の成人式を迎えるこの頃に新しいことを始めてもいいんじゃないかと思うようになりました。

お客様の家に行った時に、こちらから買うものをお勧めすることはありません。雑多になっているところを片付けて、お客様の好きなもの、大切にしているものを飾るだけでもサマになるんです。物が増えると綺麗の維持にも管理にも時間がとられるので、まずはあるもので素敵で生活しやすいお部屋にしましょう、と。最初にお家に伺って、どんな生活がしたいかビジョンを聞きつつ、1時間ほど一緒にお片付けしてウォームアップをします。当日は大体5時間ほどでお部屋を仕上げます。お客様からすると、100%おまかせでないのは大変だと思いますが、一緒に作業することで「お片付けやスタイリングのコツがわかった!」といっていただけます。

ヘルスケアのビジネスにもつながることは、社会で頑張っている人たちを応援すること。外で頑張っていると、家の中は大変になりがちですよね。でも、だからこそ、家に帰ったらリラックスできるように、住環境を整えるお手伝いをしたいと思っています。

多様性が心地いい、EPWは羽を休める場所。

EPWに入った2020年10月ごろは、ちょうど執筆の仕事を抱えている頃でした。ほかの仕事はクライアント先に出向くのでオフィスはいらなかったのですが、流石に作業場が必要だなと。友人家族と葉山のアパートを借りてシェアオフィスのようにしていたのですが、解約したときにEPWを知りました。イベントで見学ができたのですが、食と仕事場が整っている環境が素敵だなと思い。仕事柄ですね。EPWの中に生活があるという感じがしました。

ここで過ごすうちに、なんでもない会話ってすごく大切なんだなと思って。入居当時は一人で執筆に没頭していたのですが、最近はメンバーと話すようになったんです。お仕事でご一緒する方は年上の方が多かったのですが、ここには自分より若くて、仕事を頑張っている人がたくさんいる。相談されたり、甘えられたりすると、自分が上の人からしてもらったように、自分もできることがあるんだなと背筋が伸びる思いです。

クライアント先に行ってまっすぐ家に帰ることもできるけど、EPWでワンクッション置いてクールダウンして帰ることも。子供が小学生になったことも大きいですね。お子さん連れでもいいですよ、と言ってくれるイベントもあって、一緒に参加できるのもありがたいです。こどもの世界も広がるし、職場体験になりますから。「ママのオフィスに行きたい」とよく言われます。

EPWで出会った人は、コミュニティスタッフも含めてみんな個性がありますね。スタッフの皆さんはプライベートでも仲良くしていますが、EPWの中ではいい距離感を保つプロフェッショナルさも尊敬しています。この場所の“気の良さ”はフロントのメンバーが作っていると思います。メンバーの多様性も心地よくて、どんな人でも受け止めてくれる包容力がある場です。

Natsuko Kasai

Interview with